はるばる8000km彼方のオーストラリアへ。そして馬を借り、未知の山野400kmを走る。
いったい何が彼をそーさせるのか?それこそが、エンデュランスの魅力である!
彼が乗馬を始めたのは4年前である。2年前に北海道に戻り、エンデュランスという競技を知ったのである。
北海道に戻ってからはオーストラリアのエンデュランス出場資格を得るために多くの競技に出場し完走した。
彼のトレーニングエリアは津別(司馬注:白滝も主なトレーニングエリアである)であり、騎乗馬の多くは道産子あるいは道産子の半血種である。オーストラリアではアラブがエンデュランスで活躍していること、シャザーダ400kmという厳しい競技があることを知った彼は、シャザーザ出場に目標を定め、2003年1月より自らに厳しいトレーニングを課した。
(司馬注:さらに禁酒を誓う!シャザーダの後、数カ月ぶりにシャロンらと美味しいワインを堪能したとか・・(^_^))
Osami記 ----------------------------------------------------------------
トレーニングは、最初は2キロぐらいのウォーキングとランニング、体が慣れてきたら
4キロぐらいに伸ばし、時計も少し詰めるように走ってました。ほぼ毎日、夕方ですが
。日が長くなってからは、ちょっと遠出して、巌望岩の階段を上ったり、インターバル
トレーニングを意識したりして、結構きちんとやったのですよ。
オーストラリアでは、移動が多く、あまりトレーニングしなかったですが、観光で行っ
た灯台の階段を走って登ったり、シャロンの家の広い庭で少し走ったりしました。
あとは、禁酒、禁タバコ(もともと吸わないけど)、禁女(?)。本当は競技の木曜日
時点で、解禁になったけど、なにか中途半端な気がしたので競技がすべて終わるまで
待ちました。テリーとバーバラの完走が決まって、3人で乾杯したのが本当に久しぶり
のお酒で、その後は毎日飲みっぱなし。とにかくオーストラリアワインはおいしかった
です。
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オーストラリアに着くとまず、皆の尊敬を集めるライダーである Mr. Ron Males に紹介された。そして、Yengo 80kmで騎乗することになっている、ロンの持ち馬である
Migolna Springs Zaakhana とご対面。面白いことに、フィッシュは日本語でZaakhana(サカナ)と発音するそうだ。
Yengo 80km出場はシャザーダに向けてのコンディション作り、当地での経験と知識情報収集のためでもある。
Osami記 ----------------------------------------------------------------
オーストラリアだからなのかわかりませんが“Z”を濁らない発音にしたり、“S”を
濁った発音をしたりしてました。レックスの馬 Jasmine を“ジャズミン”と言ってま
したし。
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ZaakhanaとOsamiは軽量級に出場。6時間19分で第5位で完走した。彼はザカーナの能力、そのストライド(歩幅)の長さ、その落ち着きぶり(mental attitude)に感心した。彼女の素晴らしいストライドに身をゆだねたが、その走りっぷりに慣れるまでしばし時間がかかった。彼女のような素晴らしいエンデュランスホースは初めてであるとのこと。
Osami記 ----------------------------------------------------------------
Zaakhana は、まだ5歳で、今回が初めての80キロだったわけですが、素晴らしい
能力を持っていると思います。その速歩は飛ぶ様で、他の馬が駆歩になっても、
しばらくは速歩でついていけるほどでした。乗り心地は良く、初めてのアラブの速歩
に感動しました。落ち着きぶりといっても、5歳牝馬で、物見は最初のうちかなり
していました。ただ学習能力は高く、すぐに問題なくなりました。ハミにちょっと
うるさいところがありましたが、若いデリケートな牝馬なので、拳の使い方が難しく、
技術不足でコンタクトがうまく取れないせいでした。
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Yengo 80kmを完走し、シャザーダ出場までの間、彼はアラブに乗り、乗馬レッスンとエンデュランストレーニングを受けた。より多くの知識を得るために、経験を積ませるために、同じくシャザーダ出場の名の知れた2人のエンデュランスライダー Rex Cox とAngela Molnar が面倒をみてくれた。
そして、アラブにもガッチリしたタイプから背の高いほっそりしたタイプまで、いろいろなタイプがあることに認識を新たにしたようである。彼に、アラブにも色々な『いわゆる血統』があることを説明した。彼は、Crabbet、Polish、Egyptianなどのタイプ、およびそれらとの半血種に乗ってみた。また、色々な鞍も試してみた。ここでは鞍に関して詳しく述べないが、いろいろと試した鞍の中の1つについて、彼の身体のある部分の骨格に関係することだが『これはゆゆしき問題である・・・』ということがあった、とだけ述べておこう。
我々の最終目的地はセント・アルバーンズ(St. Albans)、シャザーダの開催地である。
セント・アルバーンズで Terry Woodsに引き会わされ、彼の騎乗馬となるTerryの持ち馬である100%アラブのセン馬、Ravlon Savero(Ravlon Job x Ravlon Aurora), aka Savvyとご対面。 (司馬注:Osamiによると、彼らはRavlon SaveroをSavvyという愛称でよんでいるとのこと) OsamiとSavvyは文字どおりチームを組むのである。
Savvyはストライドの短いガッチリタイプであり、
多くの競技を道産子で走ったOsamiに向いているであろう。『エンデュランスのなにごとか』を肌で感じてもらうべく、親鳥が雛をその羽の下に置くように、テリーが手引きしてくれた。人馬が精神的に肉体的に『食い違わないこと』が大切であり、そうすることによって人馬の絆はより強固なものになるのである。
Osami記 ----------------------------------------------------------------
aka Savvyのakaについては、多分“愛称”ということなんだと思います。
シャロンが、“この子なんて呼んだらいいの?”って言ったとき、
テリーの奥さんのカズが“サビー”って言ってたので。
サビーはカズの馬だそうで、彼女も実はシャザダ完走者だそうです。
この雑誌のほかのページにも、同じような意味で aka を使っている
部分がありましたので、そういうことでしょう。
Ralvon Job の子供は、今回のシャザダにもう一頭出ていて、
Anne Jones という、シャザダを11回完走した人が乗っていましたが、
その子は完走していました。シャザダは、いろいろ賞があり、完走回数が
多くなると、バックルを収める額のようなものを記念として贈られたり、
何年も連続で完走すると、特別なゼッケンが贈られたり、今回は人馬共に
初参加というコンビの中での賞というのもありました。
一緒に走ってくれた女性、バーバラですが、2003NSWの年間ポイント
ランキングで、軽量級トップになっていました。
サビーは距離部門で一応下のほうにちょこっと載ってましたが。
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スタート前日の夜、Osamiはほとんど寝ていなかったであろう。午前4時のスタート1時間前には全て準備OKであったに違いない。午前4時15分、気温はマイナス、OsamiとSavvyはスタートラインを超え、ゆっくりと闇に中に消えて行った。
さて、暖かいベッドに戻ろうかと思ったが、キャンプファイヤが赤々と燃え、キャラクター豊かなオッジーが楽しそうに
しているので、私も仲間に加わることにした。
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