A Japanese Shahzada
シャザーダを走る1人の日本人
Sami on THE AUSTRALIAN ARABIAN HORSE NEWS

トップ  SHAHZADA  Samiのシャザーダ写真  エンデュランス・トップ  前編

Sharon May-Davisよりオーストラリアのアラブ専門雑誌が送られてきました。
シャロンによる『A JAPANESE SHAHZADA』と題した記事が載っています。
Samiは8/8〜9/4までオーストラリアに滞在。Yengo 80km / QLD Championship 160km / Shahzada 400kmに出場しました。詳しくはSamiのレポートを待ちましょう。 一緒にシドニー空港へ降りたったのはSanaeさん。最初の5日間Samiと一緒でした。

雑誌本文、写真、The Australian Arabian Horse Newsの紹介は下記に。
本文:シャザーダを走る1人の日本人-1・・・270KB
本文:シャザーダを走る1人の日本人-2・・・270KB
2003年12月号の紹介
出版社(Vink Publishing)
Main Event Photography
(現地出張の写真屋さん)

December 2003 VOL.37 No.4

A Japanese Shahzada
シャザーダを走る1人の日本人
by Sharon May-Davis

Word of Life crossing にて
オサミとラルボン・サヴィーロ(サビー)
Osami記
この写真は、月曜1レグ終了直前の、Word of Life crossing で、残り4キロ地点の MacDonald River を渡るポイントです。 今回 St Albans の橋が工事中だったので、競技中は渡れないことに なっていて、ゴール直前とスタート直後は、川を渡ったりしていたました。 工事用の車両も行き来して、物見する馬は大変だったようです。
---------------------------------------------------------------------------

はるばる8000km彼方のオーストラリアへ。そして馬を借り、未知の山野400kmを走る。 いったい何が彼をそーさせるのか?それこそが、エンデュランスの魅力である!

彼が乗馬を始めたのは4年前である。2年前に北海道に戻り、エンデュランスという競技を知ったのである。 北海道に戻ってからはオーストラリアのエンデュランス出場資格を得るために多くの競技に出場し完走した。 彼のトレーニングエリアは津別(司馬注:白滝も主なトレーニングエリアである)であり、騎乗馬の多くは道産子あるいは道産子の半血種である。オーストラリアではアラブがエンデュランスで活躍していること、シャザーダ400kmという厳しい競技があることを知った彼は、シャザーザ出場に目標を定め、2003年1月より自らに厳しいトレーニングを課した。 (司馬注:さらに禁酒を誓う!シャザーダの後、数カ月ぶりにシャロンらと美味しいワインを堪能したとか・・(^_^))

Osami記 ----------------------------------------------------------------
トレーニングは、最初は2キロぐらいのウォーキングとランニング、体が慣れてきたら 4キロぐらいに伸ばし、時計も少し詰めるように走ってました。ほぼ毎日、夕方ですが 。日が長くなってからは、ちょっと遠出して、巌望岩の階段を上ったり、インターバル トレーニングを意識したりして、結構きちんとやったのですよ。 オーストラリアでは、移動が多く、あまりトレーニングしなかったですが、観光で行っ た灯台の階段を走って登ったり、シャロンの家の広い庭で少し走ったりしました。

あとは、禁酒、禁タバコ(もともと吸わないけど)、禁女(?)。本当は競技の木曜日 時点で、解禁になったけど、なにか中途半端な気がしたので競技がすべて終わるまで 待ちました。テリーとバーバラの完走が決まって、3人で乾杯したのが本当に久しぶり のお酒で、その後は毎日飲みっぱなし。とにかくオーストラリアワインはおいしかった です。
---------------------------------------------------------------------------
オーストラリアに着くとまず、皆の尊敬を集めるライダーである Mr. Ron Males に紹介された。そして、Yengo 80kmで騎乗することになっている、ロンの持ち馬である Migolna Springs Zaakhana とご対面。面白いことに、フィッシュは日本語でZaakhana(サカナ)と発音するそうだ。 Yengo 80km出場はシャザーダに向けてのコンディション作り、当地での経験と知識情報収集のためでもある。

Osami記 ----------------------------------------------------------------
オーストラリアだからなのかわかりませんが“Z”を濁らない発音にしたり、“S”を 濁った発音をしたりしてました。レックスの馬 Jasmine を“ジャズミン”と言ってま したし。
---------------------------------------------------------------------------
ZaakhanaとOsamiは軽量級に出場。6時間19分で第5位で完走した。彼はザカーナの能力、そのストライド(歩幅)の長さ、その落ち着きぶり(mental attitude)に感心した。彼女の素晴らしいストライドに身をゆだねたが、その走りっぷりに慣れるまでしばし時間がかかった。彼女のような素晴らしいエンデュランスホースは初めてであるとのこと。

Osami記 ----------------------------------------------------------------
Zaakhana は、まだ5歳で、今回が初めての80キロだったわけですが、素晴らしい 能力を持っていると思います。その速歩は飛ぶ様で、他の馬が駆歩になっても、 しばらくは速歩でついていけるほどでした。乗り心地は良く、初めてのアラブの速歩 に感動しました。落ち着きぶりといっても、5歳牝馬で、物見は最初のうちかなり していました。ただ学習能力は高く、すぐに問題なくなりました。ハミにちょっと うるさいところがありましたが、若いデリケートな牝馬なので、拳の使い方が難しく、 技術不足でコンタクトがうまく取れないせいでした。
---------------------------------------------------------------------------
Yengo 80kmを完走し、シャザーダ出場までの間、彼はアラブに乗り、乗馬レッスンとエンデュランストレーニングを受けた。より多くの知識を得るために、経験を積ませるために、同じくシャザーダ出場の名の知れた2人のエンデュランスライダー Rex Cox とAngela Molnar が面倒をみてくれた。

そして、アラブにもガッチリしたタイプから背の高いほっそりしたタイプまで、いろいろなタイプがあることに認識を新たにしたようである。彼に、アラブにも色々な『いわゆる血統』があることを説明した。彼は、Crabbet、Polish、Egyptianなどのタイプ、およびそれらとの半血種に乗ってみた。また、色々な鞍も試してみた。ここでは鞍に関して詳しく述べないが、いろいろと試した鞍の中の1つについて、彼の身体のある部分の骨格に関係することだが『これはゆゆしき問題である・・・』ということがあった、とだけ述べておこう。

我々の最終目的地はセント・アルバーンズ(St. Albans)、シャザーダの開催地である。 セント・アルバーンズで Terry Woodsに引き会わされ、彼の騎乗馬となるTerryの持ち馬である100%アラブのセン馬、Ravlon Savero(Ravlon Job x Ravlon Aurora), aka Savvyとご対面。
(司馬注:Osamiによると、彼らはRavlon SaveroをSavvyという愛称でよんでいるとのこと)
OsamiとSavvyは文字どおりチームを組むのである。 Savvyはストライドの短いガッチリタイプであり、 多くの競技を道産子で走ったOsamiに向いているであろう。『エンデュランスのなにごとか』を肌で感じてもらうべく、親鳥が雛をその羽の下に置くように、テリーが手引きしてくれた。人馬が精神的に肉体的に『食い違わないこと』が大切であり、そうすることによって人馬の絆はより強固なものになるのである。

Osami記 ----------------------------------------------------------------
aka Savvyのakaについては、多分“愛称”ということなんだと思います。 シャロンが、“この子なんて呼んだらいいの?”って言ったとき、 テリーの奥さんのカズが“サビー”って言ってたので。 サビーはカズの馬だそうで、彼女も実はシャザダ完走者だそうです。 この雑誌のほかのページにも、同じような意味で aka を使っている 部分がありましたので、そういうことでしょう。 Ralvon Job の子供は、今回のシャザダにもう一頭出ていて、 Anne Jones という、シャザダを11回完走した人が乗っていましたが、 その子は完走していました。シャザダは、いろいろ賞があり、完走回数が 多くなると、バックルを収める額のようなものを記念として贈られたり、 何年も連続で完走すると、特別なゼッケンが贈られたり、今回は人馬共に 初参加というコンビの中での賞というのもありました。 一緒に走ってくれた女性、バーバラですが、2003NSWの年間ポイント ランキングで、軽量級トップになっていました。 サビーは距離部門で一応下のほうにちょこっと載ってましたが。
---------------------------------------------------------------------------

スタート前日の夜、Osamiはほとんど寝ていなかったであろう。午前4時のスタート1時間前には全て準備OKであったに違いない。午前4時15分、気温はマイナス、OsamiとSavvyはスタートラインを超え、ゆっくりと闇に中に消えて行った。 さて、暖かいベッドに戻ろうかと思ったが、キャンプファイヤが赤々と燃え、キャラクター豊かなオッジーが楽しそうに しているので、私も仲間に加わることにした。

ステップスの中の一つを慎重に下りるオサミとサビー
Osami記
この写真は、有名なシャザーダのステップスです。ステップスということですので、たくさんのステップがあります。このステップはまだ楽なところですが、もっと危険な場所がたくさんありました。というより、ステップス以外の場所でも、すごいところがたくさんありましたが。
---------------------------------------------------------------------------

何時間か後、頭上のスピーカーががなりだした。『ゼッケン○番、最終チェックポイントを通過中・・・。』 そしてゼッケン27番が呼び出され、OsamiとSavvyがスタート地点へ向かっていることが分かった。 スピーカーから聞える声はなんとも聞き取りにくい。 OsamiはSavvy流の走り、そのスピリットを大いに楽しんだ。獣医検査も問題なく通過し、第2レグに進む。 第2レグにはマッケニー(Mckechnies)が待っている。そして私は、聞き取りにくい放送のなかからOsamiの番号が聞えてくるのを待つのである。人馬がスタート地点へ戻ってくる。ライダーとクルーは、馬のケアー、獣医検査に備えてのあれやこれやで、心身ともに疲れ果てている。いつものように、何事も馬が最優先であり、真っ先に栄養のある食べ物を与えられる。人間のお世話は一番最後である。

Osami記 ----------------------------------------------------------------
初日の2レグの山場は McKechnies の上りで、ここで徐々に、ここはとんでもない コースだと感じだしました。
---------------------------------------------------------------------------

2日目。Osamiはシャザーダがどのようなものであるか、状況が分かりはじめてきた。今日は、まず午前中にプレストン(Prestons)を通るということが分かっているだけで、ライダーの目を覚まさせるに十分である。競技も2日目となり、キャンプファイヤーに集まっているクルーたちも要領がよくなっている。(人馬がスタートして行った後)私もさっさとベッドにもぐりこんだ。さて、2日目もOsamiとSavvyは無事スタート地点に戻ってきた。(ハードなコースを乗り越えてきたという)自信、ぐっと高まったサビーに対する信頼感を胸に秘めての帰還であった。サビーは素晴らしい馬であり、お互いの息も合ってきたとのことである。Osamiのポケットには常に人参が入っていた!

Osami記 ----------------------------------------------------------------
2日目はもっとも大変な日と言われてました。起伏が激しく、難所が多く、もっとも 時間が掛かる日だろうと。5回完走した Malcolm Matters が競技前に地図を見て説明 してくれましたが、たしか感じとして、月曜は普通、火曜は最も大変、水曜はイージー、 木曜はちょっと大変、金曜は普通、というふうな説明だったと思います。 で、その1レグに Preston と言う急勾配の上り下りの場所を通ることになります。 シャザダのスタート時間は初日だけ決まっていますが、2日目からは4時以降で 自分たちで決められます。この日は時間が掛かるだろうということで、前日と同じ時間 のスタートでした。

Savvyとの関係についても『この日に信頼を確立して』という強い感じかもしれません。 それぐらい2日目というのは大変な日だったわけです。 Savvy は、どちらかというとマイペースなタイプです。かと言ってボーっと しているわけではなく、勝気な部分はあるので、前に行きたがるところも あり、抑えるのに苦労したりもしました。引き馬のときは、テンションを すっかり下げて、テレテレと歩いたり、自分でコントロールする感じです。 オーストラリアのエンデュランスでは、よくベースに戻ってから、安心な場所 で口笛を吹いて馬におしっこをさせますが、Savvy は緊張して我慢することも なく、コース上でタイミングを見てしてました。とりあえず、僕といることに 不快感を持っていなかったのだと思います。
---------------------------------------------------------------------------

3日目。人馬は昼までにスタート地点に戻り、馬たちは汗を流してもらっていた。Osamiはというと、何やら様子がおかしかった。Osamiがスタート地点へ戻り、ラインを越えるときにいつも交わす日本語の言葉があるが、その言葉が”Osamiに何かトラブルがある”ということを示していた。獣医検査を受け、その後すぐに我々のテントに行き状況を調べてみると、膝から下、水ぶくれになった部分が擦れ、ひどいすりむけ状態なっているのが分かった。おー、なんてことでしょう!あちこちのテントに助けを頼みに人を遣ると、典型的なオッジー流ではあるが、すぐさま、太郎(Tom)、次郎(Dick)、花子(Sharyn)が駈けつけてきた。 彼は、このオッジー的大らかさに感激しつつ、午後のレグに出発していったが、その時、彼はまだいくぶんかびっこをひいていた。私は、歩様検査を受けるときに、Osami自身が一緒に走らずにすんだことを神に感謝した!さて、午後のレグには、馬を引いて下ることになる難所、ボイド(Boyds)が待ちうけているのである。

Osami記 ----------------------------------------------------------------
これは、 Rex のチームです。“Tom,Dick”は一般的男たちですが、“Sharyn”はレック スのワイフです。発音はシャロンとほぼ同じのようで、レックスが“シャロン!”と呼 ぶと二人が返事するそうで。ちなみにレックスの息子たちもシャザダ完走者です。 ところでこのとき、僕の足はかなり痛んでました。初日に出来た左足の靴擦れと、 右足の膝に近い内腿の傷で。 僕は初日から靴擦れで、普通に歩くのは良いですが、 走るのと、上り坂を歩く時が痛く、結局、歩様検査はテリーにやってもらっていました。 Savvy の状態もあまりよくないので、テリーの判断に任せるということで。 Boyds も2レグの難所(急な下り坂)ですね。
(司馬記:このBoydsと関係ないが(^^;
Boyd という青年がいます。彼は自分の牧場で繁殖・調教をしています。)
---------------------------------------------------------------------------

4日目。朝の気温はマイナス7℃。シャザーダ名物のステップスのある第1レグであるが、Osamiにとって最後のレグとなった。 いつものフィニッシュラインを超えるときのやりとりで、Osamiが元気なのは分かったが、サビーについては何か問題がある様子であった。サビーの腹帯のあたりを診てみると(レースの期間中、状態はよくなかったのだが)、腹帯のあたりが再び炎症を起していた。患部を氷で冷やし、最終的に獣医検査は合格したのだが、 Osamiはすでに心の中で『彼にとっては無念な決断』を下していた。Osamiは、この時点で棄権したのである。

Osami記 ----------------------------------------------------------------
帯擦れは、実はスタート前からで、競技前の試走で出来たのだと思います。 もともと、皮膚は弱いようで気をつけていたようですが。なので、初日からずっと コースから戻ったらすぐ、アイスパックで冷やしていました。 歩様は、いつも跛行しそうな雰囲気で、軽速歩でも手前を頻繁に変えて、様子を見ました。 悪くなったり良くなったりを繰り返しながら、何とか4日目まで来た感じです。 しかし、この日はずっと悪い状態。帯擦れでの跛行なので微妙なのですが。 1レグ途中で、もうこれは棄権だなと思ってました。乗ってる最中に、テリーに 伝えようとも思いましたが、テリーも僕に対して注意を払っているので、わかっている はずで、テリーの判断に任せようと思い、注意しながら乗りました。

到着してすぐシャロンに伝え、出来るだけのことをしましたが、歩様検査で少し問題あり、 と判断され、時間を置いてもう一度チェックするとのこと。回復するものなのか、 恒久的痛みにつながるものなのかという判断をするということなのでしょう。 幸い、そのチェックは通り、そのときの歩様はまったく問題ないものでした。 帯擦れによるものだったからでしょうね。 その前に、僕はテリーに改めて “どうする?” と言われていたので、迷わず、『通っても Withdrow』と答えました。残りまだ100キロ以上ですから、完走は無理だと感じたので。
---------------------------------------------------------------------------

Osamiは、この至難なレースに挑戦するべく、8000kmを超えてやってきたのである。 そして、10レグのうち7レグまで困難を乗り越えてきたのである。しかし、Osamiは私に言った。『私はサビーを傷つけたくないし、今、彼は状態がよくないのだ。彼にこれ以上の負担をかけるつもりはない。』 エンデュランスのモットーは『完走することが勝つこと』である。しかし、あと少しのところまで来ていながら、馬にムリをさせないために棄権するというのは、賞賛に値するホースマンシップの体現である。Osamiは、サビーの持つ、強さ、耐久力、健康な精神を称えているが、わずか3週間前に出合ったこの品種のなかに、今まで経験したことのない優れた特質を見いだしたのである。

Osami記 ----------------------------------------------------------------
競技終了後、Savvy は治療の為薬を塗られてはいましたが、その他はとても元気で、 表彰式の後、午後から、テリーが、バーバラと3人で、ちょっと乗りに行こうというこ とで、バーバラが Savvy に乗って、僕が別の馬に乗りましたが、普通に速歩、駆歩を 少し織り交ぜて、10キロぐらい行きました。後から乗り心地を聞かれましたが、 テリーも“サビーのほうが悪いだろ?”という感じで言ってました。体が硬く、十分な ウォーミングアップを必要とするタイプで、いつも朝は動きが硬く、速歩も遅れがち。 十分暖まると、今度は行く気満々になって抑えるのが大変になってきます。
---------------------------------------------------------------------------

山口治美は、新しい知識、経験、そして挑戦(Challenge)すべき何ごとかを求めてオーストラリアにやってきた。 そして、オーストラリアン・ホースマンに対する尊敬の心、アラブというたぐい稀な馬について知ったこと、 これらを携えてオーストラリアを去っていった。

Osami記 ----------------------------------------------------------------
シャロンの書いている通りです。素性もわからない異国人に、このようなハイリスクな コースで馬を貸してくれた事は、本当に感謝していますし、なによりシャロンにはどう 言っていいかわからないほどの思いです。アラブについても、エンデュランスを別に しても、実に魅力的な馬だと感じました。

シャロンはこの記事を書く為に、競技開始前々日にいろいろ質問してきました。 僕は今回のこの競技に関しては、それほど心配してはいませんでしたが、シャロンは 『あなたの実績はレベル2か3で、シャザダとテビスはレベル5である。2ステップも 上の競技に出るのは、挑戦(Challenge!)なのですよ。』と言っていました。Yengo80km も QLD160km も そのためのトレーニングに過ぎないということでしょう。

実際 SHAHZADA は The Ultimate Test in Horsemanship という副題がついている ように、単にエンデュランスとは呼べないほどの覚悟が必要です。馬の能力は当然必要 ですが、人間も同じように鍛えないと、完走は難しいコースです。今回天気が良かった ので、問題はなかったですが、雨でも降ればとても危険になり、油断すると命を落とす 可能性のある場所もあります。たまたま僕は、以前登山も少ししていたし、馬での登山 も経験しているので、特に戸惑いはなかったですが、普通の日本でのエンデュランスや 外乗とはまったく異質であることを付け加えておきます。今後挑戦する人のために。

・・・と、まあこんな感じですが、書いてるうちにいろいろ思い出して、またちょっと 目頭が熱くなりました。それはとても言葉で表せない形で、心に深くきざまれ ています。いろいろ書けば書くほど、何かうそっぽい感じで。レポートと思っても、少 し書いては、何か違うなと思って、どうしても書き進めない。単にエンデュランスとい うこと以上で、心に深く入り込んでいます。
---------------------------------------------------------------------------

喫茶室でのおしゃべり】

●Osami
写真はプロが撮ってくれたものです。いろいろなイベントで、出店して 写真を売っているようです。Photography by Main Event Photography 僕も撮影された翌日には、写真が大きいサイズで張り出されてました。 競技が終わって、選手たちがそこのテントに行って、ゼッケン番号を 言うと、プレビューの画像をモニターで出してくれて、見ながら文字 を入れてくれたり、いろいろ処理をしてくれます。 最近写真屋さんでデジタルカメラのデータをプリントしてくれるよう になりましたが、その高価な機械を持ち込んでプリントしてくれるので、 プロの撮影技術と相まって美しい仕上がりになってます。

●谷
こんにちは。 日本のエンデュランスもこういうところで盛り上げていかないといけないですよね。見せ方というか、盛り上げ方というか・・・ライダー、クルー以外の人に楽しさや感動が伝わる工夫が大事ですね。

●Osami
僕が感じたのは、シャザダにしても結局会場には関係者しかいないと思うのですよ。 ただ、その数が、小さな田舎町にとっては多い。選手が60人以上。Strappers と 呼ばれる、クルーがその倍以上。あとは競技運営の大会関係者。何百人と訪れるイベ ントは、お祭りのようなものでしょう。だから皆とても楽しみにしていて、実際楽 しんでいます。でも原点はいつもそこでしょう。挑戦する人とサポートする人。皆、 努力し、応援し、健闘をたたえる。本当に困難なコースだからこそ、皆ひとつになる 感覚を味わえるんでしょうね。

だから僕は、あまり見せ方や盛り上げ方を、重要視 しなくても良いんじゃないかと思うようになってきました。皆が楽しんでいれば、 自然と面白そうと思って関係者が増える。必要なのは競技者が楽しめる環境と、 やってみたいと思う人に門戸が広がること。エンデュランス自身が持つ魅力は、 十分にあるはずですから。まあ、どんなものでも好き嫌いはあるけど。 写真についても、結局逆で、盛り上げようと思ってやってるのではなく、盛り 上がってるところだから、商売になる!と思って来るわけで。

オーストラリアのエンデュランスの楽しみ方は、まず、キャンプを楽しむ。 彼らにとって重要な意味を持つ、焚き火を囲んで、友人たちと酒を酌み交わす。 それだけじゃつまらないので、競技に出る。(ってことはないか。) またはクルーとして手伝う。結局、週末のライフスタイルの一つで、真剣だけど ストイックさが無いのが良いです。

トップ  SHAHZADA  Samiのシャザーダ写真  エンデュランス・トップ  前編