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ある鞍の話【報告】
(2004年8月 司馬記)

さて情報を得るためにウェブページを作り、他のホームページの掲示板にも情報を依頼し、直接メールや手紙を出しました。自衛隊にも問合わせましたが何も分からず。靖国神社にあるかもというので問い合わせ、資料館『遊就館』に出向いたものの、あるはずの軍鞍は結局なし。以下、Judiの鞍が旧日本陸軍の軍鞍であることが判明したのでご報告します。


Mr.Jから第一報です。
彼は20年ほど前、ある牧場で冬の最中6ヶ月あまりの研修をしましたが、『いわゆる馬場鞍として、この様な形の馬場鞍に乗ったような記憶が有ります。感心したのは乗馬上達の上では極めて自然の美しい姿勢を保ちやすく進歩が早いということです。また、現在のファームの元地主さんのお宅は戦後入植されたフロンティアの方で、一代目の方(故人)は陸軍で使われる乗馬の調教を職業とされた方だそうです。 お写真を見せてもらいましたが、150位の障害を飛越される姿は実に美しく見事なものです。多分、昭和15〜6年ごろのものと思われます。』とのことです。その写真がこれ(↑)です。写真の鞍はJudiの鞍とは違うようですが。

大井松田RCの掲示板に情報をお願いしていましたが、Ms.Posiが書き込んでくれました。
JRA馬事公苑が競馬学校だった頃に教官をされていた方によると、 『将校の鞍に似ているけれど、前橋とあおり革の後ろのほうに革袋を提げる環 がついているはずなので、もしかしたら違うかも…』とのことです。 また、戦争が終わった後、鞍はほとんど馬事公苑に回収されたらしいのですが、 全部処分してしまったそうです。

Mr.Sから 『亡父のかつての乗馬会にも全く同じ軍鞍がありました。 もっとも実用に供していたわけではありませんでしたが、確かに見た覚えがあります。 軍鞍にも数種のタイプがあり、他の形のものは実際に使用しておりました。 詳細は良く分かりませんが、小生のまったくの想像ですが、 この鞍は運送用の輜重兵科もしくは砲兵科のそれではないかと思います。』

Mr.Kから『 皮が古く使えないようですが写真と全く同じ物があります。単なる兵隊の鞍ではなく、「少し位の上」の人用と聞いています。』

Mr.Bから 『お尋ねの鞍はおそらく通称軍隊鞍と言われるものと思います。昔、馬追いをやってた人達が軍隊で使ってた鞍は乗りやすいといってました。今でも、使用してる人、保存している人がいます。』

軍鞍であることは判明しましたが、将校用か兵隊用かということになってきました。

Mr.Bから続報です。
『写真の鞍は確かに軍隊鞍と呼ばれていた物で、いわゆる馬場鞍のような形状です。 鞍は2種類あるようです。○○さんが知りたい鞍は兵隊さんが使用したようです。 それも将校より下の軍曹クラスの物のようで騎兵隊(砲兵部隊の行軍に使用)軍曹以上の階級用らしいです。将校用は書いてあるように前橋とあおり革の後ろのほうに環がついてます。 現在の持ち主は2種類持ってます。兵隊鞍は現在使用してません。 本人曰く、今の鞍より硬いとのことです。もう一つは将校鞍と呼ばれてます、これは乗りやすいようです。 持ち主の手元に有り、一鞍(将校鞍)はトレッキングに使用してます。』

続報・・・2005/9/5(Mr.Yより)
旧日本陸軍の軍鞍(ぐんあん)だと思われます。老生、昭和35年に大学馬術部を卒 業しました。手に入る鞍は全て軍鞍で、写真から察すると、兵卒が用いていた鞍で、 後部が2階建てになっているのは、 テントやその他の荷物を括りつけるようになっているのが特徴です。 尚、旧陸軍の軍鞍でも、 将校用の鞍は今日普通に見かける鞍と同じ作りで皮も上等でありました。写真の鞍は一 兵卒用のもので丈夫に作られていた分、 重いものでしたが、重い荷物と完全武装の 兵を乗せて1日中行動するので馬の背中に鞍傷ができないように配慮されています。 Dリングがあちこちについているのは、いろいろと装備を取り付けるためのものです。 懐かしい鞍を見て昔を思い出しました。

というわけで、以下のように判明しました。
・旧陸軍の軍鞍であること。
・将校用でなく兵隊用であること。
・砲兵部隊の兵隊が使用したものであろうということ。


軍隊の階級について知っている範囲で書いてみます。
将校は尉官以上(少尉以上)の武官で、大将、中将、少将、大佐、中佐、少佐、大尉、中尉、少尉です。 士官という言葉がありますが士官は将校と同義です。兵隊とは将校(士官)でない者を言います。曹長、軍曹、 伍長、上等兵、一等兵、二等兵。ロボット三等兵というのをご存知の方は同年輩です。(^^; 『少し位の上』という指摘があります。 少し位の上の人というのは曹長、軍曹、伍長のどれかだと思います。将校(士官)=オフィサー、兵隊=ソルジャーです。西洋の階級制度にはないようですが、いつの頃からか(?)どーゆー目的か分かりませんが日本では士官と兵隊の間に『下士官』という階級(?)というか呼称(?)を作ったようです。
下士官とは曹長、軍曹、伍長の3階級の兵隊です。『少し位の上』というのはこの下士官ということになるのだと思います。

続報・・・2008/2/2(馬之助さんより)
写真の軍鞍は旧日本陸軍において大正14年に制式化されました。 十四年式乗鞍は三十年式乗鞍の後継鞍であり騎兵や輜重兵、砲兵は無論のこと、憲兵や歩兵などの兵、下士官の乗馬本分者が使用しておりました。 騎兵用は軍刀を鞍右側から吊り下げるために旅嚢托環を1つ追加してありますがそれ以外は同一のものです。他の兵科もすべて同一の形状です。
軍鞍については拙ブログ『萌黄の蹄跡』で紹介してます。



Mr.Bより、将校用の写真@−Cと兵隊用の写真D−Gが送られてきました。写真の鞍は両方とも使われていないそうです。 軍隊鞍を使用する時は座布団を鞍の上に敷いて乗るそうです。 (硬くてお尻が痛い)だから今はあまり使われてなく物置にあるか飾っているみたい?

@−Cは将校用でJudiの鞍とは違います。

@ Mr.Bからの写真 将校用(これは使用していない)

A Mr.Bからの写真 将校用(これは使用していない)

B Mr.Bからの写真 将校用(これは使用していない)

C Mr.Bからの写真 将校用(これは使用していない)

D−Gの兵隊用はJudiの鞍と全く同じです。

D Mr.Bからの写真 兵隊用(これは使用していない)

E Mr.Bからの写真 兵隊用(これは使用していない)

F Mr.Bからの写真 兵隊用(これは使用していない)

G Mr.Bからの写真 兵隊用(これは使用していない)

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