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平成のカウボーイ
(2004年6月13日 馬方記)


6/12はパドックの整備です。 今のパドックに火山灰を50台ほど入れて平にして馬の生活環境を善くしてあげます。また今日は種付けしたジャスミンの運搬をお願いした日でもあります。会員、お客さん、ダンプトラックなど、ひっきりなしで通ります。 6/26開催のエンデュランス馬術競技の練習を積む方5名ほどが2回の騎乗をして、馬はたっぷりと汗をかきました。そんな時、ジャスミンとその娘ワッカが帰って来ました。すぐに降ろし、馬方は公共牧場で牛追いに乗る馬を積んで運んでもらいました。 馬方の勤務する公共牧場には巡回用のバギー車がありますが、これが壊れてしまいました。 予算が無いとの事で管理人が直して乗って下さいと言われましたが、早々お金を出せませんので馬で牧場を巡回する事を提案し了解されましたので、早速今日運んだ次第です。

「ムーミン」町営牧場に放される

公共牧場で管理馬をしているム−ミンの馬装姿。

牧場・牛・仲間の馬・不安・受け入れ。 余り考えずにポンと1牧区へ。 元気に走りまわって良かった良かった。 夕方5時に公共牧場へ行きました。 牛はパドックに皆集まって来ました。 馬は来ません・・・・・。 奥の方にいたので引いて連れて来ましたが、牛を見たとたんに、フ−フ−フ−フ−フ−と何度も話しています。 牛のそばは行きたくない様、他の馬はどうして来ないんだ? などとぶつぶつ言って行きたがりません。 そこを無理矢理連れて来て牛との御対面をさせました。 牛も馬も落ち着きません。 然し1時間くらい嘗められたり噛んだりしながら、お互いに 食べられるような獰猛な生き物ではない事を確認して牧場へと放しました。

6/13の朝、いつも通り一般牧区へ巡回ですが、ゲートの横のバラ線が切れております。 しかもそこには馬の足跡がいくつも同じ大きさであるでは無いですか!! これは脱柵です、逃亡です、さて困った・・・・と考えながら、 ひとまず点検の仕事は済ませ、馬の捜索の開始です。 バラ線は2ケ所破れていました。 足跡を追跡していくと畑作農家の畑まで来ています。 これからは、多分その方角に馬を飼っている人がいるので そちらの方に向っていったに違いない。 人の畑の中をどうやって通っていったのか。 作物をいためていないだろうか。 電牧があるがこれをやぶっていったのじゃ無いだろうか。 何軒の農家に迷惑をかけているのだろうか。 それにしてもYさんに馬が行っていれば電話が馬方か会長に夜中に来るはずである。 今までもそうであった。 しかし逃げたところの修理をしなければ牛に逃げられるであろうとバラ線の修理に出かけました。

すると牧場の奥、昨日馬を捕まえたところに馬がおりました。 一度は逃げたのですが、馬方の事を考えて他人に迷惑をかけてはまずいので途中で引き返して元の牧区に帰って来たのです。と言うのはあり得ない事で、怪我の巧妙と言うやつですか! 今年この地域に、牧場に住んでいる鹿が降りて来て悪さをしております。 たまりかねて農家の方々は電気牧柵を設置致しました。 畑の側迄行った馬はどうしても電牧を飛び越えられず。 逃げたところを戻り、元の放牧地に帰って来たのです。 これを見て馬方はホッとしたのと、馬と牛の関係が接近し、一つの群れになった事を実感致しました。 牛と接しても昨日のようにビクビクせず牛を受け入れました。 牛も又馬は走れば速いので尊敬し群れのリーダーになって欲しいのです。 平成カウボーイの道は今始まりましたが、道は険しそうです。

そうです身の毛もよだつ脱走事件のあった夕方は何ごとも無く、 変わった2牧区に移り、馬方の行くのを待っておりました。 どうやらこの牧場が気に入った様子です。 しかし今日の課題は、牛を先に放してその後を「 私を置いていかないでー」と言う状態をつくり出す事です。 案の定、牛が先に行ってしまうとイライラ・・。 その時に放してあげると、牛さんチョット待ってよ〜、 わたしを置いて行かないで〜現象が見られ、やれやれとホッとしております。

6/14の朝、馬はもう馬方を見て一目散に走って来ました。 そばに来るなり「何をしていたの遅いわね〜」と話しかけてきました。 もうこれはしめしめです。 ひと通り巡回点検を済ませ、馬との課題解消です。 鞍を付け、昨日の牧区を回り、今日の牧区に入り、 凡そ2キロくらいを常歩中心に騎乗いたしました。 軽く汗をかくと馬方に対する忠誠心は強くなり、 人間に対する信頼も乗る前から比べると倍増です。 こうして馬方の考えている通りに馬が動くようになると、 不思議と自分は馬じゃないのか?と思うことがあります。 汗をかいた後は立ちながら寝はじめました。 平常心になった証拠であり、今の牧場が一番住み易く、 安心出来る場所になった様です。

この後は馬を全部の牧区に連れて行き、 どのような形になっていて恐いところがない事を見せてあげる事と、 自分の仕事は、人間を乗せて牧場を回る事と牛を追ってパドックに追い込む事、 怪我の牛がいればその牛だけをパドックに追い込み治療をする、などの事を教えます。 そうして、できれば誉めてあげ、できなければ何回も何回も、できるまでやります。 これができれば「平成カウボーイ」は完結です。 今の状況なら3日もあればできるでしょう。 難しいのは人間を信頼させる事でした!!

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