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知性とは何か?その定義は様々になされることができる。
もし論理的に考える能力が知性の一部であるとすれば、馬の知性は低いと言わざるを得ない。
実際、人間の下に連なる全ての種は論理的思考が全くできないか、できてもたかがしれたものである。
しかし忘れてならないことは人間が論理的にものごとを考えることができる能力を使うのは、
概ね人間の本能的衝動を正当化しようとするときである。
例えば宇宙を知りたい調べたいという欲求があるが、そこには高尚な目的があるとその正当性を主張するが、
ほとんどの動物と同じように、我々は大いに領土的野心を持っていおり、
常に新しい領土を手に入れようとしてきたことは認めようとはしない。
政治的衝突の渦中(北アイルランド、中東、アジア、アフリカなど)にあって、
しかるべき教育を受けたリーダーに、何のために争うのか、死ぬことさえ厭わないのかと問うたならば、
双方とも自らの行動に対してその正当性を縷々述べるであろう。
しかし実際のところ彼らを駆り立てているのは幼稚な種族感情と領土を拡張したいという本能なのである。
そこで知性を計る尺度を、記憶力、ものを覚える早さ(学習速度)にしたら、馬は非常に知性的であるということになる。
たいていの場合、馬の記憶力は人に優り、学習速度という点では常に人に優るのである。
馬にとって目新しく恐ろしい物や刺激に対して、じきに慣れ動じなくなるその早さについては既に論じた。
正しい方法を用いたならば、たいへん恐ろしい刺激に対しても、数分で慣れてしまうということがしばしば観察されている。
後章において、生まれたての子馬に、たったの1−2時間、絶え間なく刺激を与える方法(flooding technique)によって、恐ろしい、あらゆる、もの、音、匂いに慣れてしまうかということについて論じる。
それはまさに馬の学習速度が非常に早いということの証しである。
後章で、条件反射(Conditioned Responses)反応、条件反射と正反対の反応(Counter Conditioning)を
いかに使うか、暴力を用いず、僅かな働きかけ(馬の身体の部分に触れたり動かしたりする)によって
我々が群れのリーダーになる方法について論じる。
これらの方法が驚くほど有効なのは、方法そのものが的を得たものであるばかりでなく、
馬自体の学習速度が早いからである
再度いうが、身に危険がおよぶと思われるとき、そこから走って逃げるという行動をしながら進化してきた動物は、
何が危険で何が危険でないかということを、早く覚えねばならないのである。もの覚えの遅い者は真っ先に食われて
しまうのである。
馬と比較するために犬について考えてみよう。誰しも犬は大いに知的な動物だということに同意するだろうが、
獣医として指摘しておきたいことは、一度ならず二度・三度と車に跳ねられたことがあるという犬を
私は何頭も知っているということである。
馬が電気牧柵に触れなくなるまでに、何度失敗を繰り返す必要があるだろうか?
同じ過ちを何度も繰り返す、貴方はそういう人を何人知っているだろうか?
馬も同じ過ちを何度も繰り返すだろうか?知性というのは主観的なものである。
学習速度の早さを知性を測る特性の1つとしたならば、馬は大いに知性的な動物なのである。
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