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キムの子
アシリ誕生
(2006/4/19)

今年2番目の馬の分娩はアラブ馬のキムちゃんの子馬です。 前日18時頃から乳房に漏乳が見られ分娩に立ち会うこととなりました。 30分毎に草を食べては15分間立ち尽くし・・・・ この繰り返しで朝になりました。

朝外のパドックに出して運動をさせ夕方厩舎に入れ、さて、18時から又分娩の準備です。 本日は(息子と)2名で担当です。 息子は馬の摺り込みをしたいとの事で資料を読んでいました。 馬方は8時から10時迄仮眠してそれから朝迄立ち会う予定です。 8時から10時迄は息子が担当です。

顔はお兄さんのポロそっくりです。

「産まれた、産まれた」と息子に起こされ、キムの所に行き、子馬を確認したところ2005年生まれのポロ兄とそっくりの子馬です。 男の子です。(馬方は女の子を期待してました・・・・残念) 息子が摺込みをして、暫くしてキムが子馬を前足で叩いています? 何か変です!!息を上手く出来ません。大変です。 この対策には子馬をロープで釣るし気孔に詰まっている羊水を出します。 しかし子馬の足をロープで縛れません。さてどうしましょう。

そうこうしているうちにキムが子馬の口を自分の口でくわえ、吸い込みます。 そうです、人工呼吸をしているのです。 馬方は急いで馬の左足を右に開きそして右足を閉じ胸の部分を圧迫し、 空気を吐き出し、又右足を開き空気を吸わせそして吐き出させます。 これを5回位やって気道を真直ぐにして空気を吸い易くさせると、 鼻から少し空気を吸い胸も大きく動き出しました。 呼吸ができると次は立ってお乳を飲むことです。

名前はアシリ。アイヌ語で「新しい」という意味。

二人掛かりで立たせてみましたが、直ぐ立ちました。 5分後にキムの乳を飲ませに乳房に近付けるとチュウチュウ吸っています。 たった30分位の時間の出来事でしたが、とても長く感じました。 それにしてもキムは誰にも教えてもらわないで、 脚で子馬を叩き元気付けたり、 脚の腱を噛んで立たせることを促したり、 お臍の部分を噛んで呼吸を促したり、 子馬の口に口をあて羊水を吸ったり、 子馬のお尻をコントロールしてお乳に誘導したり、 何でも知っていました。 野生の本能というのはすごいですね!! 今、人間が失っている本能ですね。
うらら、アシリに続き、あと3頭誕生の予定です。

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